会社分割・会社合併の手続きなら、組織再編サポートセンター

会社分割・会社合併の手続きなら組織再編サポートセンター

【対応地域】全国対応

03-3356-5661

電話受付時間 : 平日9:00~18:00 休業日:土日祝日

メール対応は24時間受け付けております。

お問い合わせはこちら

会社分割における分割対価の柔軟化と対価の種類──株式以外の資産を対価とする実務対応

会社分割の対価は「株式」だけではない

会社分割を検討する際、多くの経営者の方が「対価は株式だけ」と思い込んでいるケースが見受けられます。

しかし実際には、会社法により株式以外の資産を対価とすることも認められています

 

事業承継、グループ内再編、M&Aなど、目的によって最適な対価の種類は異なります。

本記事では、会社分割における対価の種類と実務上の選択基準、法的な根拠と注意点を詳しく解説します。


この記事で解決できること

  • 会社分割で利用できる対価の種類(株式・金銭・社債・新株予約権など)を理解できる
  • 対価の種類によって手続きや課税関係がどう変わるかを把握できる
  • 実際の取引で対価を柔軟に設計するための考え方がわかる
  • 分割計画書・分割契約書における対価の記載方法がわかる
  • 司法書士・税理士への相談時に必要な情報を整理できる

 


会社分割における対価の種類

会社法は、会社分割の対価として以下の種類を認めています。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

株式(最も一般的な対価)

会社分割の対価として最も多く用いられるのが株式です。

承継会社(吸収分割の場合)または設立会社(新設分割の場合)が発行する株式を、分割会社またはその株主に交付します。

 

株式を対価とする場合、適格要件を満たせば税制上の優遇を受けられる可能性があります。

ただし、税務上の判定は複雑ですので、必ず顧問税理士へのご相談をお願いいたします。

 

金銭(現金による対価)

会社法により、金銭を対価とすることも可能です。

これは、いわば「事業の現金売却」に近い形となります。

 

金銭対価は、以下のケースで選ばれることがあります。

  • 分割会社の株主が承継会社の経営に関与したくない場合
  • グループ外への事業売却を行う場合
  • 株式評価が困難な非上場会社との取引の場合

 

ただし、金銭を対価とする場合は税制適格の要件を満たしにくくなるため、課税関係が生じる可能性が高くなります。

 

社債(負債性の対価)

会社法では、社債を対価として交付することも認められています。

これは、承継会社が分割会社に対して一定期間後に元本と利息を支払う債務を負う形です。

 

社債対価は、以下の場合に検討されます。

  • 承継会社の資金繰りを考慮して、支払いを分割したい場合
  • 分割会社が定期的な収入を確保したい場合
  • 株式を発行せずに資本構成を維持したい場合

 

新株予約権(将来の株式取得権)

新株予約権を対価とすることで、将来的な株式取得の選択肢を与えることができます。

これは、業績連動型の対価設計や、段階的な経営統合を目指す場合に活用されます。

 

その他の財産(現物資産)

会社法は「その他の財産」を対価とすることも認めています。

理論上は、不動産や有価証券などの現物資産を対価とすることも可能です。

 

ただし、実務上は評価や登記の複雑さから、現物資産を対価とするケースは稀です。

 


対価の交付先による分類──分社型と分割型

会社分割における対価の交付先には、2つのパターンがあります。

これは対価の種類とは別の重要な分類です。

 

分社型分割(物的分割)

対価を分割会社に交付するパターンです。

分割会社が承継会社の株式を取得し、親子関係が生じます。

 

グループ内再編や持株会社体制の構築で多く用いられます。

 

分割型分割(人的分割)

対価を分割会社を経由して分割会社の株主に交付するパターンです。

株主が承継会社の株式を取得し、分割会社と承継会社は兄弟会社のような関係になります。

 

詳しくは分社型分割と分割型分割の違いに関する解説をご覧ください。

 


実務でよくある論点と対価設計のポイント

ここからは、実際の会社分割で対価を決める際に問題となる実務上の論点を見ていきます。

 

【ケース1】対価を「ゼロ」にすることは可能か?

結論から言えば、対価を交付しない会社分割も可能です。

会社法上、対価の交付は必須ではありません。

 

ただし、対価ゼロの分割は以下の点に注意が必要です。

  • 株主の利益を損なう可能性があるため、株主総会での説明が重要
  • 税務上、無償での事業移転とみなされ課税関係が生じる可能性がある

 

グループ内での100%親子会社間の再編など、合理的な理由がある場合に限定して検討されます。

 

【ケース2】株式と金銭を組み合わせることは可能か?

株式と金銭を組み合わせた対価も可能です。

これを「混合対価」と呼びます。

 

たとえば、以下のような設計が考えられます。

  • 承継会社の株式100株と金銭1,000万円を交付
  • 株式による支配権の移転と、現金による調整を同時に実現

 

混合対価は、事業価値の評価が難しい場合や、株式だけでは株主間の公平性を保ちにくい場合に活用されます。

 

【ケース3】対価の金額はどう決めるのか?

対価の金額(株式の数や金銭の額)は、承継する事業の時価を基準に決定することが一般的です。

実務上は、以下の手法が用いられます。

  • 純資産法(承継する資産と負債の差額)
  • 収益還元法(将来収益の現在価値)
  • 類似会社比較法(同業他社の株価倍率)

 

対価が不当に低い場合、株主や債権者から異議が出る可能性があります。

公正な評価を行い、分割計画書・分割契約書に根拠を明記することが重要です。

 

【ケース4】非上場株式を対価とする場合の注意点

承継会社が非上場の中小企業の場合、株式の評価と流動性が課題となります。

 

以下の点に注意しましょう。

  • 株式の時価を適切に算定できる専門家(公認会計士・税理士)の関与
  • 株主間契約や株式の譲渡制限条項の確認
  • 将来的な株式の換金可能性(買取条項など)の設計

 

当事務所では、会社分割の登記手続きに加え、分割計画書・分割契約書の作成支援も行っております。

対価の設計や記載方法についても、実務経験に基づいてサポートいたします。

 


対価の種類による手続き上の違い

対価の種類によって、会社分割の手続きに以下のような違いが生じます。

 

株式を対価とする場合

  • 登記申請時に、株式の割当てに関する事項を分割計画書・分割契約書に記載
  • 資本金・資本準備金の額を決定する必要がある

 

金銭を対価とする場合

  • 承継会社に十分な資金が必要(分割実行前に資金調達を確認)
  • 分割計画書・分割契約書に金銭の額などを明記
  • 効力発生日に金銭の授受を実行

 

社債・新株予約権を対価とする場合

  • 社債発行または新株予約権発行の取締役会決議が必要
  • 発行条件(利率、償還期限、行使価額など)を分割計画書・分割契約書に記載
  • 必要に応じて社債原簿・新株予約権原簿を作成

 


分割計画書・分割契約書への対価の記載

会社分割を実行する際、対価に関する事項は分割計画書または分割契約書に必ず記載する必要があります(会社法第758条、第763条)。

 

記載すべき事項

  • 対価の種類(株式・金銭・社債・新株予約権など)
  • 対価の数または額
  • 対価の割当てに関する事項(誰に、どれだけ交付するか)
  • 分社型分割か分割型分割かの別

 

記載例

【株式を対価とする場合】

「承継会社は、分割会社に対し、普通株式1,000株を交付する。」

 

【金銭を対価とする場合】

「承継会社は、分割会社に対し、金5,000万円を効力発生日に支払う。」

 

【混合対価の場合】

「承継会社は、分割会社に対し、普通株式500株および金2,000万円を交付する。」

 

詳細な記載方法については、分割計画書・分割契約書の作成ポイントの記事もあわせてご参照ください。

 


対価の種類と適格要件の関係

対価の種類は、税務上の「適格分割」の要件に大きく影響します。

 

一般に、株式のみを対価とする場合は、他の要件を満たせば適格分割となる可能性が高くなります。

一方、金銭や社債を対価とする場合は、税制適格の要件を満たしにくくなります。

 

適格要件の判定や税額の計算は税法上の専門領域です。具体的な税務処理については、顧問税理士または税理士法人へのご相談をお願いいたします。

 


会社分割と事業譲渡の対価の違い

会社分割と似た手法に「事業譲渡」がありますが、対価の扱いに大きな違いがあります。

 

会社分割の場合

  • 対価は株式・金銭・社債など多様な選択肢がある
  • 対価の交付先を「会社」または「株主」に選べる(分社型・分割型)
  • 包括承継のため、個別の資産移転手続きが不要

 

事業譲渡の場合

  • 対価は原則として金銭(現金)
  • 対価は譲渡会社に支払われる(株主に直接交付されない)
  • 個別の資産・負債・契約を一つずつ移転する必要がある

 

このように、対価設計の柔軟性は会社分割の大きなメリットです。

詳しくは会社分割と事業譲渡の違いの解説記事をご覧ください。

 


専門家に依頼すべきケースの判断基準

以下のようなケースでは、司法書士・税理士・弁護士などの専門家への相談をおすすめします。

 

  • 対価の種類を株式・金銭・社債から選択する必要がある場合
  • 複数の株主が存在し、公平な対価の配分が求められる場合
  • グループ外への事業売却で、税務上の適格要件が問題となる場合
  • 分割会社・承継会社のいずれかが非上場で、株式評価が困難な場合
  • 対価ゼロの分割を検討しており、株主・債権者への説明が必要な場合

 

当事務所では、1,200社を超える会社の登記実績をもとに、会社分割の対価設計から登記完了までワンストップでサポートしております。

税理士・弁護士との連携体制も整えておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

 


まとめ

会社分割の対価は、株式だけでなく金銭・社債・新株予約権など多様な選択肢があります。

対価の種類によって税務・法務・資金繰りへの影響が大きく異なるため、目的に応じた慎重な設計が必要です。

実務では、事業評価・株主間の公平性・税務上の適格要件を総合的に考慮して対価を決定します。専門家のサポートを受けながら、適切な対価設計を行いましょう。

組織再編の手続きでお悩みなら、無料相談をご利用ください

イージス&パートナーズ司法書士法人では、1,200社を超える登記実績をもとに、組織再編のスケジュール立案から登記完了まで一貫してサポートいたします。「自社のケースでどの手法が適切か分からない」「他の士業の先生から組織再編に強い司法書士を紹介してほしいと言われている」といったご相談にも対応しております。

初回相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。

無料相談を申し込む

Return Top