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会社分割における競業避止義務・競業禁止特約の取扱いと実務上の注意点

会社分割で従業員の競業避止義務はどうなる?

会社分割によって事業を切り出す際、「従業員が承継先で同じ仕事を続ける場合、元の会社との競業避止義務はどうなるのか?」という疑問をお持ちの経営者の方は少なくありません。

特に、事業譲渡ではなく会社分割を選択したことで、思わぬ競業禁止特約の問題が生じるケースがあります。

 

この記事で解決できること

本記事では、会社分割における競業避止義務の取扱いと実務上の注意点について解説します。

具体的には、以下の内容をご理解いただけます。

  • 会社分割と事業譲渡で競業避止義務の扱いが異なる理由
  • 分割会社・承継会社それぞれの競業避止義務の範囲
  • 役員との競業禁止特約の承継可否
  • 取引先との競業禁止条項の効力
  • 独占禁止法上の問題になるケース

 


会社分割における競業避止義務の基本ルール

会社法上の競業避止義務とは

会社法では、一定の競業避止義務が課される場合があります。

これは、事業を承継した会社が、事業譲渡先の会社の事業を不当に妨害しないよう配慮する趣旨です。

 

会社法第21条の規定

会社法第21条では、事業譲渡の場合に譲渡会社に対して20年間の競業避止義務が課されることが原則とされています。


分割会社・承継会社それぞれの競業避止義務

分割会社の競業避止義務

分割会社が競業避止義務を負うかどうかは、分割契約・分割計画の定め次第です。

会社法上は、競業避止義務を定めなくても分割は有効に成立します。

 

ただし、承継会社の立場からすると、分割後に分割会社が同一事業を再開してしまうと、分割の意義が損なわれる可能性があります。

そのため、実務上は分割契約書に競業避止条項を盛り込むケースが多いです。

 

■ 競業避止期間の定め方

あまりにも期間が長すぎると、かえって公序良俗等に反するリスクがあるため、慎重に設定する必要があります。

 

承継会社の競業避止義務

承継会社は、分割によって事業を承継する側ですので、原則として競業避止義務を負うことはありません。

ただし、分割契約で特約を設けることは可能です。

 


役員の競業避止義務(会社法第356条)

取締役は、会社法第356条により、在任中は会社の許可なく競業取引を行ってはならないとされています。

この競業避止義務は、法定の義務であり、契約によらず当然に発生します。

 

会社分割によって取締役が承継会社に移籍した場合、分割会社に対する競業避止義務は原則として消滅します。

ただし、分割会社の取締役を兼任する場合は、引き続き競業避止義務を負います。

 


実務でよくある論点・つまずき

【ケース1】分割後に分割会社が同一事業を再開した場合

分割契約で競業避止義務を定めていたにもかかわらず、分割会社が同一事業を再開してしまうケースがあります。

この場合、承継会社は分割会社に対して差止請求や損害賠償請求を行うことができます。

 

ただし、競業避止義務の範囲が不明確だと、請求が認められない可能性があります。

分割契約書では、対象事業・期間・地域を具体的に記載することが重要です。

 

【ケース2】従業員が承継先で同一業務に従事する場合

従業員が会社分割によって承継会社に移籍し、同一業務に従事する場合、分割前の競業禁止特約が問題になることがあります。

この場合、特約の合理性が争われる可能性が高いです。

 

実務上は、会社分割を機に競業禁止特約を見直すことが推奨されます。

特に、承継先で同一業務に従事する従業員については、特約を削除または修正することが望ましいです。

 

【ケース3】分割会社の役員が承継会社の役員を兼任する場合

分割会社の取締役が、分割後も分割会社の役員を兼任しながら、承継会社の役員にも就任するケースがあります。

この場合、会社法第356条の競業避止義務が問題になります。

 

承継会社が分割会社と競合する事業を行う場合、分割会社の取締役会で競業取引の承認を得る必要があります。

承認を得ずに兼任した場合、取締役は損害賠償責任を負うリスクがあります。

 

会社分割は、手続きの流れや必要書類が複雑です。詳しくは会社分割の基礎知識で全体像をご確認ください。

また、当事務所では会社分割の登記手続きをトータルサポートしております。

 


会社分割と事業譲渡の競業避止義務の違い

事業譲渡の場合

会社法第21条では、事業譲渡の場合、譲渡会社は原則として20年間の競業避止義務を負うと規定されています。

この義務は法定のものであり、特約がなくても発生します。

 

ただし、当事者間で別段の定めをすることも可能です。

実務上は、期間を短縮する特約を設けるケースが多いです。

 

会社分割の場合

一方、会社分割では、競業避止義務は任意的記載事項です。

 

この違いは、事業譲渡が「事業の売買」であるのに対し、会社分割が「組織法上の行為」である点に由来します。

会社分割を選択する際は、競業避止義務の有無を明確に契約書に記載することが重要です。

 

会社分割と事業譲渡の違いについては、会社分割と事業譲渡の違いで詳しく解説しています。

 


専門家に依頼すべきケースの判断基準

法律の専門知識が必要なケース

以下のような場合は、司法書士・弁護士への相談をおすすめします。

  • 分割契約書に競業避止条項を盛り込みたい
  • 従業員との競業禁止特約の承継可否を判断したい
  • 取引先との契約に競業禁止条項が含まれている
  • 分割後の役員兼任で競業避止義務が問題になる可能性がある
  • 独占禁止法上の問題が懸念される

 

司法書士・行政書士に依頼するメリット

当事務所では、会社分割の登記手続きだけでなく、分割契約書・分割計画書の作成支援も行っています。

競業避止条項の記載内容についても、実務上のポイントをアドバイスいたします。

 

また、行政書士事務所を併設しているため、許認可の承継手続きもワンストップで対応可能です。

これまで1,200社を超える会社の登記実績があり、組織再編案件も多数取り扱っています。

 


まとめ

会社分割における競業避止義務は、分割契約・分割計画の定め次第で大きく異なります。

必要に応じて契約書に明記することも重要です。

 

 

当事務所では、会社分割の実務経験が豊富な司法書士・行政書士が、会社分割に関するご相談から登記手続きまで、トータルでサポートいたします。

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イージス&パートナーズ司法書士法人では、1,200社を超える登記実績をもとに、組織再編のスケジュール立案から登記完了まで一貫してサポートいたします。「自社のケースでどの手法が適切か分からない」「他の士業の先生から組織再編に強い司法書士を紹介してほしい」といったご相談にも対応しております。

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